春の雪だるま

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    あの日、大きな雪だるまを見た。それはそれは、さくバァちゃんとおんなじ130センチくらい。隣で誰かが笑った。その背後で、カチッと時間を刻む音とともに、誰かが静かに話しはじめた。
    あたしが産まれる前、たぶん15年くらい前だと思う。そのころ、東京に大雪が降った、ある冬の日の話しを。

    それは、まるで北国のように降り続く雪の中、時間を忘れてかまくらを作っているふたり。
    世界は、真っ白だった。時間が、ものすごい速さで流れているのか、止まってしまっているのか。ふと視線を感じ、振り返ると、大きな雪だるまがそこにいた。何者でもない自分を自己主張するかのように、黄色い帽子に、薄ピンクの口で笑ってた。すこし哀しげに首を傾け、百年も昔からそこにいたように。
    ふたりは、紛れもない、その存在から心を放ち、一心不乱に雪を積み上げた。そして、どれくらい時間が流れたのか、大きな大きな、かまくらが、ほっこり出来上がっていた。かまくらの中は寒空の下、何かあったかく大きなものに守られていたんだ。
    翌朝、かまくらを作った公園に行くと、雪だるまはあとかたもなく消えていた。かまくらの隣に、ポツンと置かれた黄色いバケツがひとつ。まわりを見渡すと、小さなまんまるのあしあと。
    それから15年の月日が流れ、あの日の雪だるまが、お日様の下で笑ってた。

    おしまい。

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